ファッションは「世界を良くしたい」ことを願う芸術作品
今回はちょっと読み物的な記事。「ファッションのトレンド(流行)」の話です。
ブランドにもよりますが、デザイナーは「洋服という芸術」を通して、「世界をこう良くしたい」という思いを伝えます。それが「トレンド」、いわゆる流行となることがあります。
ちょっと以前書いた記事の続きになりますので、まだ未読の方は、先に以下の記事をご覧ください。
参考記事:「2018年秋冬~2019年春夏のファッショントレンド「ジェンダレス」って一体何?」
今回は、以前記述したような「こうしたらオシャレになれるよ!これが流行りだよ!」という内容ではありません。
以前書いたように、2018年秋冬~2019年春夏のトレンドは「ジェンダレス」です。
ではこの「ジェンダレス(性差を無くす)」というトレンドがなぜ生まれたのか?
デザイナーは「何を訴えたいのか?」というお話です。
前回の記事では「多様性が世界のトレンドで、その中で、性差など関係ないジェンダレスが台頭してきた」とまとめました。
しかしそもそも、なぜ数ある「多様性」の中から「ジェンダレス」が台頭してきたのでしょうか?
今回は、その発端や背景を解説していきます。
いかに「ファッションが世相を反映しているか」がよく分かります。是非最後までご覧ください。
「ジェンダレス」誕生のきっかけはトランプ政権
「ジェンダレス」がファッションショーに鮮烈に表れたのは「2017-2018年秋冬のニューヨーク」です。これは、ちょうどトランプ政権が誕生して一か月の時でした。
まず前提を記述しますが、トランプは「女性軽視者」です。
数々の女性軽視発言を彼は行ってきました。
そんなトランプは、女性スタッフに「女性らしい恰好をしろ」と命令していました。
これに対し世の中の女性は、「各々が考える女性らしい恰好」をしてインスタグラムに投稿し、「女性らしさ」とは何かを訴えるムーブメントが起きました。
そんな中で生まれたのは「フェミニズム運動」です。
「フェミニズム」とは「性差別を廃止し、女性の権利の拡張を求める」思想です。
2017年秋冬のニューヨークのファッションショーは、そんな思想のうねりの中で開催されました。
つまり、このファッションショーは、デザイナーたちにとっても「フェミニズムとは何か?」を各々考え発表する場となったのです。
以下、そのファッションショーの一部を掲載します。
https://www.fashion-press.net/
https://www.fashion-press.net/
その結果はこの通り。
この年のニューヨークのファッションショーは非常に「メンズライクな服」が並ぶことになりました。
つまり、この年に各デザイナーが考えた「性差別を無くす」ことは、「女性が男性的な装いをすること」だったのです。
これが「ジェンダレス」台頭の発端です。
https://www.fashion-press.net/
その発想はニューヨークだけにとどまらず、世界最高峰のパリのファッションショー(画像はパリのステラマッカートニー)にまで広がるなど、「世界的なうねり」となっていき「トレンド」となっていきました。
「フェミニズム運動を通して、女性の権利を主張する」
これが各デザイナーの訴えでしょう。
その後アメリカでは、「#METOO」運動(映画プロデューサーにセクハラされたと女優が訴えた事件)に象徴されるように、女性の権利が間違いなく強まっています。
デザイナーの「ファッションを通して、世の中を良くしたい」という願いを、世界は叶えてくれてくれているように私は考えています。
一人の天才デザイナー
偶然なのか必然なのか分かりません。
ですが私は今、世界中のデザイナーで一人、間違いなく天才がいると確信しています。
それは「DIOR」の「マリア・グラツィア・キウリ」。
先ほどまで取り上げたフェミニズム運動は「2017年秋冬」。
しかし「2017年春夏」から彼女はフェミニズム運動を訴えかけていました。
https://www.fashion-press.net/
この時のショーのテーマは「フェンシング」。フェンシングには、男女で衣装の差がありません。
「男女の性差を縮めたい」というのが彼女のこのショーにかける願いだったはず。
そんな思いを象徴するのがこの写真。Tシャツをよくご覧ください。
「 WE SHOULD ALL BE FEMINIS(私たちはフェミニストであるべき)」
という力強いメッセージが書かれています。
・・・これは偶然なんでしょうか?彼女の思いが必然的に世界に広まったんでしょうか?
「神のみぞ知る」というやつですね。
という訳で、解説を終了します。もし記事内容が面白ければ、下記のボタンでシェアやツイートを是非!更新するうえで非常に励みになります。どうぞよろしくお願い致します。